2006/07/30

友人家族のキャンプ

 ニセコの山中にあるキャンプ場に着くと、下界とはうってかわって肌寒い。
すぐに友人家族のテントはみつかった。

 大学で部活動を共にした私達は、夜遅くの港で話しこんだものだった。
真っ暗な中、テトラに座ってタバコをふかしながら、
将来のことや女の子のことやどうでもいいことを
明るくなるまで延々と話し続けた。
東京生まれの東京育ちだった友人は、
学生の頃はキャンプを楽しむような人間にはとても見えなかった。
時はバブル真っ盛り。
スローライフなんて言葉は無く、みんながみんな「ハイライフ」を目指していた。
友人も「デカイことをやってやる!」なんて言ってたっけ。
北海道人で、その頃から激スローだった私は、友人から
「おまえの考え方はさっぱりわからん。」
とよくからかわれたものだった。

 卒業してから大手銀行に勤めた友人は、
東京→札幌→東京と転勤していった。
最後に東京に発つ前に連絡があってふたりで飲んだ。
仕事帰りで疲れた様子の友人は、東京に戻るということで、
少しホッとしているようだった。
もう札幌にはうんざりだという。
それはそうだろう。
この不景気の最前線北海道で銀行員という仕事が楽なわけはない。
私は、もうこの先会うことはないではないか、と思っていた。

 ところが翌年の初夏、連絡があった。
今は札幌に住んでいるという。
どういうことなのかさっぱりわからず、焼き鳥屋に呼び出されて話を聞いた。
友人は思い切って職場を変え、札幌に住む道を選んだと言う。
「東京は、人の住む所ではない。」そうだ。

 ビールを飲みながら「最高だ!」とキャンプ場でご機嫌な今の友人を見ていると
これでよかったんだろうなと思う。
 私は用があって、あまり長居はできなかったが、
去り際には夫婦で翌日の登山の相談をしていた。

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