2015/10/24

選択

久しぶりに1人で釣りに行ってみよう、とそんな気分になりました。
忙しかった仕事もひと区切りついたからでしょう。
前の晩から天気予報を見て悩みます。

本当は、海に行ってブリ、ヒラメか釣れ始めた烏賊を狙いたいのですが
天気がどうにも怪しい。
でも、朝のうちは、何とか釣りになりそうなのです。
駄目なら、この間の川かなあ、と迷いに迷います。

結局、「早朝からの雷予報」が決め手となり、川に行くことにします。
長い防波堤や岩場で雷に会うのは、お腹をすかせた熊と出会うくらい
避けたいところです。

川なら雨でも、と思いましたが釣り場に着く頃には結構な雨になっていました。
よせばいいのに天気予報で海を調べると雨は降っていないし、雷も
来てはいないようでした。

大人の男たるもの、一度なされた選択には後悔しないものだと
わかってはいるのですが、何かガマンしているのにトイレに行きそびれたような、
お腹がすいてるのにカウンターの向こう端で誰かがラーメンを食べているのを
遠くから眺めているような、そんな釈然としない気持ちでモヤモヤとします。

前日が暖かい日で、急に冷たい雨が入ると魚の調子は良くないだろうと
心配した通り、どこを流しても魚の反応はありません。
ただ、ウグイが釣れた時だけは、一瞬血管に血が流れましたが、
それからは氷のような雨に、また感覚が止まってしまいました。


どうにも釣れそうにないので、岸に出ていた大きなエノキダケを集めたりします。
多分、活性の下がった魚は、スイングする毛鉤を追いはしないのでしょう。
ルースニングなら、とも思いましたが、そこまでして釣ろうとも思わずに、
ただ黙々と川を歩きます。




夕闇が迫る川で鮭がホリを掘って集まっていました。


岸からは、長々と悲しげな雄鹿の鳴き声。
センチメンタルな気分と、何か幽遠な気分が混じり合い
百人一首にある歌など思い出して、ぼんやり川を眺めます。


突然、腰に熊スプレーの無い、文字通り丸腰であることを思い出したら
薄暗い河原にいるのが怖くなって、急いで車に戻りました。


0 件のコメント:

コメントを投稿