毎年11月のはじめ、驚くくらいあたたかい日がかならずある。
この日もそんな日。
風もなく、少し動くと汗ばむような陽気だった。
最近、釣りばかり行っていたので
ヨメにサービス、と温泉に連れて行く。
その道中、どうしても寄ってみたい所があったので
少し寄り道。
私が小学生の頃、夢中になった川。
小さな川だが、ちょうどこの季節になると
大きなイワナが本流から差してきた。
深い淵にユラユラと泳ぐイワナを見て
震える手で竿を握りしめたものでした。
ところがある年、重機が大挙してやってきて…。
そしてあとはお決まりのパターンです。
これが現在の姿。
痛々しい姿を見るのが嫌で、ずっと足を向けずにきていた。
どういうわけか、今年になって、どうしてももう一度
この川を見てみたい気持ちが湧いてきた。
なぜかはわからないんだけど。
三面護岸の水路を見ていて、空しいような、懐かしいような。
大きな魚が必ずついていた淵のことは、
今でも鮮やかに思い出せる。
岸辺のススキや、沈んだ倒木。
もうどこにも存在していないということが信じられないくらい。
支流のひとつは、まだ昔の面影があるようだった。
ここでもイワナを釣ったはずだ。
釣りの用意をしていると、近くの家から
ムク犬が1頭偵察にやってきた。
ウォッと吠えて…
サッサカ帰る。おやつあげたら食べてたけど…。
1時間ほど竿を出したが、魚には出会えなかった。
それでも、ここには何かが残っているような気がする。
だからまた来てみようと思う。
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