本当はひとりで川にでも行くつもりだったのに、
モヤモヤ感を少しでも忘れたく、家族で遊びに行くことにしてしまう。
往時の面影を今も影のように残している町に
なんとなく行きたくなったのも、その日の気分がそうさせたのだと思う。
学生の頃はよく釣りに行ったのに、ずっと訪れることもなく、およそ20年。
久しぶりに訪れた町は、昔訪れた頃よりこじんまりとしながら
ほとんど変わっていないことに驚く。
大学に入学した直後、研修で放り込まれた施設を偶然見つけるも
窓は破れ、ただ月日の流れを感じるばかり。
それでも、その時の出来事がつい先週のように思えるのが記憶の不思議。
私の頭の中は、その頃から成長を止めている。
昼飯にカレー蕎麦を食べたり、おやつにばんじゅうを買ったり、
空知の町では時折感じる、人で賑わい、栄えていた頃の空気が
この町には垂れ込めるように漂って、
それは町がうつらうつらと夢を見ているのでは、と夢想し
2時間もらって川に降り、竿を出すと
丸々とした虹鱒が飛び出してきた。
夕暮れとこの町が互いに
鉄の車輪が遠くで軋むような音を立てている、
そんな錯覚。
0 件のコメント:
コメントを投稿