先週釣りに行ってから、妙な風邪にやられて苦しみました。
熱は微熱程度ながら、動くことも考えることもできないくらいのだるさ。
昼間は熱が下がるので、仕事はどうにか行っていましたが、
それ以外は横になっているのが精一杯で、夕を過ぎるときっちり
熱が上がってきます。
二、三日で治るかとたかをくくっていましたが、気がつけば一週間を過ぎ、
どうにも困ってきたもので、町医者を説得して抗生物質を出してもらいました。
風邪なら意味がありませんが、なんとなく、感染症かも、という気もしていたので。
件の抗生物質が効いたのか、それとも単に風邪の期限が明けたのか、
定かではありませんが、それからすぐに治ってひと安心です。
ゴロゴロと豚のように横になっているしかなかったもので、
青空文庫を漁っていると、田中貢太郎という作家を見つけました。
子どもの頃から六朝志怪小説好きだったので、彼の翻訳になる
河出文庫の「中国の怪談」はとっくに読んでいましたが、さすがに
読んだ時には翻訳者にまで注目していませんでした。
過去の日本や中国の翻案物や自身の手になる短編が数多くありますが、
怪奇譚に偏るということもあってか、ほとんど知られては
いないようです。自身の作品に限ると、ちょっと奔放な想像力には
欠けるところがあるようで、どれも決まった枠を抜けられない
印象の作品が多く、そのあたりにもあまり知られていない理由が
あるのかもしれません。
田中貢太郎
それでも熱でふやけた頭には、2、3ページのこれといって意味のない
短編が限界で、だるくて置き場のない我身を忘れるにはピッタリ
だったもので、次から次へとダウンロードして読んでみました。
そんな中、ちょっとした発見が。
某時あるとき壮い飛行士が、
「海賊があるから、やがて空賊と云うのができるかも知れないよ」
と云ったことがあるが、その時その飛行士は、この空想に更に小説らしい空想を織りこんで、
「胴体を真紅に染めて、白抜きで白骨を描いてあるよ、機はカーチスの小型機で勿論、機関銃があり、操縦士は腕利きで、そして、支那海から朝鮮海峡に盛んに出没するんだね」
と云っていたが、まもなくこの飛行士は蔚山福岡間の海峡飛行の時に己の空想が事実となって現れたのに驚いた。
映画では、カーチスに乗っているのは空賊側のライバルになっていましたが、
真紅の機体というとあの映画を思い出さずにはいられません。
ちなみに私の同世代(男)であれば誰でも知ってるあの「赤い彗星」のモデルは
第一次世界大戦の撃墜王、リヒトホーフェン男爵でしょう。
プロイセンのエースパイロットだった彼は、赤く塗装した乗機で前人未到の80機撃墜を
成し遂げたそうな。欧米では結構な有名人です。
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