ここ2、3ヵ月は妙に本が読みたくなってます。
どうも私の読書熱には周期があるようです。
昨年はほとんど読まずに過ごせたのですが、
そろそろ波が来ている感じです。
ひさしぶりに手にとった
『3つの魔法三部作』ですが、
あっという間に読んでしまいました。
勢いで持っている彼の本を全部読む。
なんというか、ひじょうにキブンに合ってました。
はじめに彼の本に出会ったのは
『ネギ坊主畑の妖精たち』
をたまたま本屋で手にとった時からです。
全く知識のないまま衝動買い。
実はこの短編集、この流れの著作では最後尾に位置する
もので、断片的にこれより前に書かれた作品世界が登場します。
いわばスピンオフ物といった趣です。
はっきりとはわからないまま、奇妙な彼の作品世界に
惹かれました。
が、彼の作品は全て絶版。他の作品があることなど
意識することなく過ごしていましたが…。
ある日、私の本棚を見ていた(当時の)彼女が
「天沢退二郎」の名前を見つけて興奮していました。
なんでも中学生の時に図書館で彼の本に夢中になったとか。
この時初めて幻の『3つの魔法三部作』の存在を知ります。
しかし、この時は既に絶版で手に入れる術も無し。
この時は、まだネット環境なんてありませんでした。
後で知りますが、古本の市場では、
一冊数万円の値がついていたらしい。
その彼女が貸してくれた
『光車よまわれ』
この時は、ちくまの文庫版でした。
初めて読む彼の長編は、想像したとおり
奇妙な読後感を残してくれる傑作でした。
こうなってくると喉から手が出るほど欲しくなる
長編三部作。
ネット環境ができて早速調べてみると、
どうやら復刊ドットコムで彼の復刊リクエストが
いいところまでいっているようです。
早速投票しました。
そしてついに…。
『3つの魔法三部作』は復刊されました。
もう、復刊決定のその日に予約注文しました。
10年近くも待たされただけに感慨もひとしお。
生きてて良かった、と本気で思う。
『オレンジ党と黒い釜』
『魔の沼』
『オレンジ党海へ』
ここまでが三部作。
グーンと呼ばれる黒い魔法を使う勢力と
オレンジ党の子どもたちとの戦いを描いた作品です。
といっても欧米の善悪二元論ファンタジーとは全く色合いの異なる
作風に戸惑う人は戸惑うでしょう。
宮沢賢治、泉鏡花、といえば当たらずとも遠からじ。
彼は本来詩人なので、論理よりもイメージ、
まっとうな人が読んだならば「ワケわからん」で終わりでしょう。
『闇の中のオレンジ』
三部作から派生したエピソードを集めた短編集。
『ねぎぼうず畑…』とあわせて読むと、かなり作品世界が
広がります。
『夢でない夢』
ごく初期の短編集です。
彼の作品に特徴的なのがヒロイン。
魔法の力をもつ美少女(作品によって名前こそ違いますが)
が、奇妙な魅力を放っています。
物語は彼女達を軸に展開しますが、どの物語も
裏と表が入り混じった回転運動によって成り立っている
ような、そんな印象です。
ほとんどの作品がブッキング(復刊ドットコム)から
復刊されました。
こうして彼の作品が読めるなんて、幸せだなあ、と
読み返しながら考えていたここ数日でした。
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